乳歯があるけど矯正できる?というご質問にお答えします。
「まだ乳歯が残っていても矯正はできますか?」これは、成人矯正のご相談でもいただくことのある質問のひとつです。
結論として、乳歯が残っていても矯正治療は可能です。
ただし、どのタイミングで治療を始めるか・乳歯を抜くべきかは、骨の成長や歯の位置関係によって異なります。
高校生や大学生の時期は、永久歯列がほぼ完成しつつも、噛み合わせや歯の傾きが安定しきっていないケースも多く、治療の判断が重要になります。精密検査を行い、今後の歯並びや顎の成長を見据えた計画を立てることで、より自然で長持ちする仕上がりを目指せます。
目次
結論:乳歯があっても矯正は可能です

思春期以降の矯正治療は、単に「歯を動かす」ことが目的ではありません。
噛み合わせのバランスやあごの位置関係を整え、永久歯が正しい位置で安定するように導くことが大切です。高校生や大学生の時期は、見た目の印象だけでなく、将来的なかみ合わせや歯の寿命にも関わる重要なタイミングといえます。
「乳歯は抜歯して矯正」するのではと不安に感じる方もいますが、必ずしもすぐに抜歯が必要なわけではありません。
多くのケースでは乳歯を残したまま矯正が可能であり、抜歯が必要になるのは、永久歯の生えるスペースが不足している場合や、乳歯の生え変わりが大きく遅れている場合など、明確な理由があるケースです。
矯正治療のゴールは、歯並びを整え、しっかり噛める噛み合わせを作ることです。
成長期に行う矯正は、歯を動かすだけでなく、あごの発育や骨格のバランスを整えて、永久歯がきれいに並ぶようサポートするという大切な意味があります。高校生や大学生になってから始める場合も、これまでの成長の影響を考慮して、より安定した歯並びを目指す治療が行われます。
乳歯と永久歯が混ざる「混合歯列期」とは?
混合歯列期とは、乳歯と永久歯が同時に生えている時期のことです。
一般的には、6歳前後に最初の永久歯が生え始め、12歳ごろまでにすべて永久歯に生え変わります。
ただし、生え変わりの時期や順番には個人差があります。
次のようなサインが見られる場合は、早めに歯科で相談することをおすすめします。
・出っ歯や受け口(反対咬合)が気になる
・口が開きやすく、口呼吸が多い
・永久歯の生えるスペースが足りず、歯並びがデコボコしている
・前歯の乳歯が長く残っている、または永久歯が斜めに生えてきた
これらの状態をそのままにしておくと、将来的に抜歯が必要になったり、治療が長引いたりするリスクがあります。混合歯列期はあごの成長をコントロールしやすい時期でもあるため、早期に対応することで改善が見込めます。
どんなときに乳歯を抜くの? 抜歯を検討するケース

乳歯が残っていても、必ずしもすべての乳歯を残すわけではありません。
次のような場合には、永久歯が正しい位置に生えるように誘導する目的で乳歯を抜く場合があります。
・永久歯の生えるスペースが明らかに不足している
・乳歯の根が吸収せず、生え変わりが大きく遅れている
・永久歯が内側や外側など、正しい位置からずれて生えている
・乳歯が癒合歯(くっついている歯)や過剰歯になっている
抜かずに経過をみるケース
一方で、乳歯をすぐに抜かず自然な生え変わりを待つ方が良い場合もあります。
永久歯が正しい位置に萌出する可能性が高い場合や、拡大装置・マウスピース型矯正でスペースを確保できるケースなどです。これらの場合は、無理に抜歯せず、成長とともに自然な改善を目指します。
抜歯を行う前の流れ
乳歯を抜く場合には、必ず
精密検査→診断→ご家族への説明・同意
というステップを踏んで進めます。
抜歯のメリット・デメリットを丁寧にお伝えし、未成年や学生の場合は保護者の方とも相談しながら安心して治療を進めていくことが大切です。
乳歯期・混合歯列期に行う主な矯正治療
一般的に、乳歯が残っている時期や乳歯と永久歯が混在している混合歯列期では、あごの成長を利用しながら歯並びを整える治療が行われます。
代表的な方法を3つ紹介します。
① 取り外し式の装置(拡大装置・機能的矯正装置)
あごの幅を広げて永久歯のスペースを確保して、舌の位置や口呼吸の改善を目的に使用します。夜だけの装着でよい装置もあり、成長期の自然な力を利用できるのが特徴です。
②固定式装置(部分ワイヤー・リンガルアーチなど)
主に前歯のガタつきや反対咬合(受け口)の改善に使われます。数本の歯にワイヤーを装着し、歯の位置を少しずつ整えることで、永久歯が正しい位置に生えるようサポートします。
③ マウスピース型矯正(インビザライン・ファーストなど)
透明で目立ちにくく、装着時の違和感が少ないためお子様にも人気の方法です。ただし、混合歯列期ではすべての症例に適応できるわけではないため、歯科医師による精密な診断が必要です。
また、取り外しができる分、自己管理が必要なため、お子様の年齢によっては保護者の方の声かけなどのサポートが必要になる場合があります。
精密検査を受けることで、乳歯でも矯正治療ができるかどうか診断することが可能です。
当院の精密検査と診断の流れ

STEP1 問診・視診
生活習慣や姿勢、成長段階を丁寧にヒアリングし、現在の口腔環境を確認します。
STEP2 口腔内写真・型取りまたは口腔内スキャン
歯並びや噛み合わせの状態を立体的に把握します。スキャナーを用いることで、負担の少ない精密な記録が可能です。
STEP3 レントゲン撮影・セファロ分析
骨格のバランスやあごの位置関係を分析し、将来的な成長予測に役立てます。
STEP4 悪習癖のチェック
舌癖・口呼吸など、歯並びや顔立ちに影響する悪習慣の有無を確認します。
精密検査結果は、画像や模型を使ってご家族にもわかりやすく説明します。
治療プランを比較しながら、より良い矯正方法をご提案します。
実例紹介「乳歯があるのですが矯正は可能ですか?」
【ご相談内容】
前歯の乳歯が抜けず、その横から永久歯が生えてきたというご相談をいただきました。
【診断結果】
レントゲンで確認したところ、永久歯の位置自体は正常でしたが、乳歯の根が自然に吸収されておらず、抜けにくい状態になっていました。
そのため、乳歯を1本のみ抜歯し、拡大装置を使用して永久歯が並ぶスペースを確保することにしました。
このように、「乳歯」を抜歯するかは個人差があり、精密検査での判断が必要です。
費用・期間・通院頻度の目安
一般論として
一期治療(乳歯〜混合歯列期) 期間1〜3年程度
二期治療(永久歯列期)    期間2〜3年程度
(当院では成人矯正のみ行っております。)
装置や治療内容により異なりますが、通院は1〜2か月に1回が一般的です。
早期に始めることで治療が簡単になり、費用・期間・リスクを抑えられるケースもあります。
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リスク・注意点とご家庭でのサポートの重要性
矯正には多くのメリットがありますが、治療をスムーズに効果的に進めるためには注意すべき点もあります。
代表的なリスク・注意点は以下の通りです。
・清掃不良によるむし歯や歯肉炎の発生
・装置による違和感や軽い痛み
・装置の破損・紛失
・装着時間の不足による効果の低下
こうしたトラブルを防ぐためには、ご家庭でのサポートが必要な場合もあります。
装置の管理、丁寧な歯みがき、間食や食習慣の見直しを習慣づけることで、矯正の効果が期待できます
よくある質問(FAQ)

Q1:乳歯が何本残っていても矯正できますか?
可能です。歯の生え変わりと顎の成長の経過を見ながら治療を進めます。
Q2:抜歯は必ず必要ですか?
いいえ。自然に生え変わるケースでは抜かずに経過を見ます。
Q 3:何歳から相談すべきですか?「早すぎる・遅すぎる」はありますか?
12歳頃には永久歯の生え代わりが完了している場合が多く、気になる症状があれば早めにご相談ください。
Q4:学校生活に支障はありますか?
取り外し式装置なら体育や給食の時に外せます。
Q5:むし歯がある場合は?
まずむし歯治療を優先し、その後に矯正を開始します。
Q6:費用の分割や医療費控除は?
医療費控除の対象になることがあります。詳しくはスタッフまでご相談ください。
Q7:他院で経過観察中でも相談できますか?
もちろん可能です。セカンドオピニオンとしてお気軽にご相談ください。
【まとめ】

「乳歯が残っているうちは、矯正はできない」と思われがちですが、実際には成長期だからこそ行える治療があります。
骨やあごの発育が進んでいる時期に矯正を始めることで、永久歯がきれいに並ぶための土台を整えることができます。早めに適切な時期を見極めることで、将来の抜歯や大がかりな治療を避けられるケースもあります。
歯並びや噛み合わせに不安がある方は、ぜひ一度専門医にご相談ください。


