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歯科矯正のループはなぜついているの?ループの特徴と矯正治療の仕組みを解説


歯科矯正の治療において、「ループ」という言葉を知っていること自体が、

  1. 「とても矯正治療に対して興味を持ってたくさん調べてくださっている」か、
  2. 「現在矯正治療中で「ループ」を使用しているお口の中の状況にいる」か、
  3. 「歯科医療や矯正治療に関わるお仕事をしている方」

なのではないかと思います。
今回は、歯科矯正の主に表側ワイヤー矯正で見られるループについて詳しく解説します。

矯正治療で用いられるループとは?

歯列矯正用のワイヤーの画像

まずは、矯正治療で用いられる「ループ」について解説したいと思います。
ループ、と聞くと「輪っか」や「円」などと丸い形を想像されるのではないでしょうか?
矯正治療のループとは、主にワイヤー矯正治療(表側ワイヤー矯正治療)のメインワイヤーという太いワイヤーに、屈折させて折り目をつけていることや、形的には半円状やオメガΩ状に加工している状態のことをループと言います。

ループの形を作ると何が違うの?

オメガの形を描いた線

端的にお話をすると、このループの形の大きさや個数、角度などで歯を動かせる方向性や距離感、位置や方向性などが細かく調整を効かせることが可能になります。
ゴム掛けやインプラントアンカーの使用をしなくても、治療が可能になる場合もあるほどの治療です。
なのでこのループは左右対称に製作されることもあれば、片方のみに制作されることもあります。
歯並びをどう動かすかによりけりでかなり大きく変わってくるのです。

そもそも矯正治療で歯が動くのはなぜ?

歯列矯正のビフォーアフターのイメージイラスト

先ほどから、「ループが……」「ループの形や個数が……」「歯を動かせる方向性が……」など、歯が動く前提でのお話をさせていただいていますが、どうして矯正治療で歯が動くことができるのでしょうか?

矯正治療とは?

矯正治療は、端的に言えば「歯並びを動かしてきれいに整えること」となります。
歯並びを動かすメカニズムについてお伝えさせていただきます。

なんで歯が動くの?

「思い切り強い力でもかけなければ、歯は動かないのでは?」と思う方も多くいると思います。
ですが、お口の中はとても敏感です。
ワイヤー矯正でもマウスピース矯正でも、歯にかける負担はそこまで大きいものではないのです。
およそ30g〜200gほどの力しかかけていないのに歯が動くのです。

そして歯に一方方向からこの力が加わると、歯の根本にある歯周組織の歯根膜というところがググッと潰されます。
潰された歯根膜はそのままにはならず、潰され続けないようスペースを作ろうとします。
その押されている潰された側のスペースを作ろうとしている歯根膜側は顎の骨を微妙に破壊します。
逆に、引っ張られている歯根膜はそこの位置から移動して骨を再生していくようにするのです。
歯根膜が破壊と再生を顎の骨に促すことで、少しずつ歯の移動が可能になっていきます。

この、歯根膜へのサインが届かないほど急に強い力が歯に加わると、歯が脱臼と言って抜けるような状態になってしまいます。
この脱臼の状態になると矯正治療での歯の移動はうまくいかないことがあります。
そのため歯にかける負荷や矯正力はとても繊細にコントロールをしなければなりません。

矯正治療の種類

ワイヤー矯正(表側矯正)の装置モデル

ワイヤー矯正(表側)

表側に装着するタイプのワイヤー矯正治療は、矯正治療の歴史の中でも最も長く、全世界的に見ても一番多くの方々が使用してきた矯正治療です。

このワイヤー矯正では、歯の唇側や頬側に面する歯の表側の面に矯正装置のブラケットという小さな部品を歯の表面に取り付けます。
そこに、メインワイヤーをセットして、メインワイヤーに対してブラケットを固定して、その強弱やワイヤーの太さ、パワーチェーンなどを使用して歯に対して負荷をかけていきます。
少しずつ負荷をかけていくことや、矯正力をかけていくことで歯は移動を始めます。
ループを加えるのも、ワイヤー矯正治療の表側矯正で使用されることが一般的です。

ワイヤー矯正(裏側)

ワイヤー矯正(裏側矯正)の装置モデル

表側矯正は、歯の表面に矯正装置を装着することで矯正治療を行います。
一方この裏側矯正では、歯の裏側つまり舌側の歯の面に矯正装置を装着してメインワイヤーを通します。
ブラケットは、歯の裏に装着するために特殊な形状になっています。
裏側矯正では舌があることやスペースの問題でループを作ることは表側矯正治療に比べて少ないとされています。
>>「裏側矯正」について

マウスピース矯正

マウスピース型矯正装置の画像

透明なマウスピースを使用して、上下の歯に毎日22時間以上装着して、歯並びを動かしていく方法です。
マウスピースを、1週間や10日で新しいものへと交換していくことで、マウスピースの元の形状が変化していくのに連れて、歯並びも少しずつ変化をしていきます。
この変化が、マウスピースを交換するたびにキツく窮屈な感じがする場合や、人によっては痛みを感じる場合もあるそうです。
ワイヤー矯正の調整をしてから数日間の痛みに比べると楽だと言う方も多くいます。
>>「マウスピース型矯正」について

ループを使う時に気をつけたいことは?

「POINT」の単語と指差し棒

ループの使用は矯正治療の多くのケースでいい効果をもたらします。
しかし患者様のお口の状況や歯の動き、歯並びによってはそれぞれに合わせたループの使用が鍵となってきます。

使用が適切なケース

  • 歯の微妙な移動や回転が必要な場合
  • 特定の歯に特定の方向への精密な力を加える必要がある場合
  • 治療期間をできるだけ短縮したい患者様

使用時のデメリットは?

ループを用いた矯正治療でのデメリットはいくつかありますので解説します。

・見た目に気になる

笑った時に歯肉が見えるようなお口の方は、特に気になることが多いかと思います。
ワイヤーがメインワイヤーの上にカクカクと四角やオメガ状の形になって連なっています。
そのため、見た目に気になる方はその期間中は少し辛抱していただくことになります。
また、笑い方で上唇に力が入りやすい方だと歯肉が見えてループが見えやすくなってしまうので、笑い方もトレーニングをすることで歯肉の見えない、ガミースマイルを抑えた笑い方ができるようになります。

・歯肉を圧迫されることがある

ワイヤーを調整した直後は大丈夫でも、少しずつ歯が動いてきた時にループをしたところのワイヤーが歯肉側に倒れ込み、歯肉を圧迫してしまうことがあります。
歯肉に当たっていると気がついた時には早めにご連絡をいただけますと幸いです。

・食べ物が挟まる・詰まる

食べ物が、ループ状になっているワイヤー自体に絡みついてしまう時と、ワイヤーと歯肉の境目に押し込まれてそのままになってしまうケースがあります。
柔らかい食事のパンやケーキ、ご飯粒などはお口をブクブクと思い切りゆすいでいただくと取れてくることがほとんどですが、残念ながら繊維質の野菜やきのこ類、お肉でも筋の多いものはしっかりと挟まって取れなくなってしまいます。
この場合は洗面所などで歯ブラシや歯間ブラシ、タフトブラシなどを使用して食物を取り除くようにしてください。
この時、強く無理に歯ブラシで擦ってしまうと歯肉が傷がついてしまう原因になるので、そっと取り除くことをお勧めしています。

ループの使用制限はある?

歯の模型と歯科治療器具とマルバツの札の写真

ループの使用は、すべての患者様の状況に適しているわけではありません。
患者様のお口の構造や顎の骨の状態、歯の動きによっては、ループの使用が推奨されない場合があります。
ループを含む矯正装置の装着感や維持に関して、患者様が不快感や痛みを覚える可能性があります。

ループの使用に際しては、矯正担当の歯科医師が患者様へしっかりとご説明いたします。
そして同意や了承を得た上で行いますのでご安心ください。
矯正治療やループに関して気になることがあれば、ぜひ当院へご相談ください。
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